宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

「前世」「カルマ」と占星術
―関係はあるの? ないの?―

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何でも昨今はスピリチュアル・ブームなんだとか…。
誰でも不思議なことには好奇心を掻き立てられるようで、あれこれお盛んなようです。
でも、「不思議なこと」って、実は「よく分かっていない」ってことなんですよね…。

西洋占星術で「前世」や「カルマ」は分かるの?


前世とカルマ・イメージ

●第1稿 : 2007年5月16日アップ

「前世」や「カルマ」も、また西洋占星術も、人間の性格や運勢に影響をおよぼす「不思議」な現象の一つなので、ホロスコープ(出生天球図)から「前世」や「カルマ」が読み取れるとする占星術師もいるようです。果たしてホントでしょうか?

《 間違いの多いスピリチュアル・ブーム 》

西洋占星術の一部の書籍の中にも、「前世」や「カルマ(業)」、ときには「守護霊」なんて言葉が出てきて、星の象意と関係するように書かれていることがあります。
また、街の占星術師の中にも、西洋占星術で「前世」や「カルマ」が分かるといった宣伝をしている方がいます。
そういう占い師や占星術研究家は、ホントに分かっているのでしょうか?
西洋占星術とはどういう「占い」で、「前世」や「カルマ」がどう人間に影響をおよぼしているのか? そういった基本となるベースを理解していない、すなわちバックボーンのない占い師に見てもらっても、正しい占断をしてもらうことができません。
西洋占星術(学)と、「前世」や「カルマ」や「守護霊」は、現代科学で解明されない同じ「不思議系」であっても、人間に影響する根本が違うので、ゴッチャにして扱うと間違ってしまうのです。

One-Point ◆ 双魚宮時代の西洋占星術は、インスピレーションが正しく働いているときはいいのですが、一歩間違うとオカルトに陥りやすいのです。スピリチュアル・ブームに便乗してか、昨今はそういう怪しげなスピリチュアル占星術師がウヨウヨいますので、注意が必要です。


「信じる」ことは、悪くはないけど…

●不思議なものを信じてしまいやすいタイプの人がいます。そういう人が「占い」や「前世」に興味を示し、丸ごと信じ込む場合が多いのです。
そういう人は「良い人」なのです。
だからこそ、バックボーンのない占い師や、ニセモノの霊能力者の餌食(えじき)にならないように、周囲と相談してみるなど、注意してほしいと思います。
「信じる」ことは、パワーを持つのと同時に、いつでも間違う可能性を秘めているからです。

《 前世はホントに存在しているの? 》

2007年5月現在、深夜からゴールデンタイムに進出したあるテレビ番組で、盛んにゲストの「前世」が取り上げられたりして、一部の人々に人気があるようです。
内容は、スピリチュアル・カウンセラーなる人物が、ゲストの前世を読み取ってゲストへの関与を明らかにし、驚かせたりしています。
「スピリチュアル・カウンセラー」というと今風で何かカッコイイのですが、早い話が「霊能者」です。
ゲストの「前世」なる存在とコンタクトを取ったり、またゲストの部屋をこっそり(霊的に)訪れたりしながら、人生や現状をどう捉えたらよいか、今後どうしたらよいか、といったアドバイス(カウンセリング)を行なっているわけです。
実は、このことが、「前世」の正体をよく示しています。
結論を先に書きましょう。
「前世」なる人が存在していたのは事実ですが、ゲストの方とはまったく別の人格です。
ゲストの精神(魂)レベルや波長と、過去に生きた「前世」なる人物とがよく似ているため、ある種の共鳴関係が生じているのです。
霊能者がコンタクトできるのは、あくまでも「人間(精神・魂・霊)」だということです。

One-Point ◆ 面白いことに、ゲストのホロスコープ(出生天球図)と、スピリチュアル・カウンセラー(霊能者)が語る「前世」なる人が生きた境遇に、共通する部分があることに気付きます。そのためインチキ霊能者ではないことが分かります。語っている内容も倫理的です。


ここでいう「前世」と「前世現象」

●「前世」や「過去世」というのは、「生まれ変わり」を認める輪廻転生のことです。ここでは、占星学から見ても、「生まれ変わり」は矛盾する、間違いであると断じています。
しかし、そういった現象=「前世現象(憑依=とりつき)」が起こりうることまでは否定していません。
ですから、ここでいう「前世現象」とは、前世のように見える現象という意味です。ある程度の霊能力のレベルでは、前世現象の奥深い「神秘世界」までは見抜けないため、「前世」(生まれ変わり)と感じてしまうのです。
残念ながら「生まれ変わり」に思える現象はあっても、「生まれ変わり」そのものは確実にありません。

《 占星術と前世(生まれ変わり)は矛盾する 》

「前世現象」それ自体を否定はしていません。
「前世」とされる人は、確かに過去に生きていたであろうし、「前世」なる人と、今生きている「現世」の人とが、何らかの関係を持つということも起こりえます。
それゆえ、ブライアン・ワイス博士の「前世療法」や、「過去を記憶している子供」といった前世現象も生じたりするのです。
また、現代における使命や役割があって「前世」の話を持ち出したりしているので、その霊能者を否定もしません。
しかし、西洋占星術が、「前世」や「カルマ」や「守護霊」を解釈の一つとして扱うのは、明らかな間違いだということをお伝えしたいのです。
カンタンにいうと、次のようなことです。

「するってぇと、ナニかい?
一人の人間が、前世に生まれたときと、現世に生まれたときの二つのホロスコープ(出生天球図)を持って存在しているってことかい?
星の配置が過去と現在で、全く同じになるってことはありえねぇし、う〜ん、ど〜も〜納得できねぇ〜なぁ…?」
ということです。

占星術が、「前世」すなわち「生まれ変わり」を認めるということは、矛盾が生じます。
事実、「前世」と「ゲスト(現世)」は、違う生年月日や出生地を持ちます。何らかの共鳴関係があるだけで、絶対的に別人格です。
なので、西洋占星術で「前世」が分かるとする占星術師や、「前世」を肯定する占星術研究家は信用できないのです。「ンなら、占星術、やめません?」ということです。

One-Point ◆ 言っていることはお分かりですよね?


霊能力のある西洋占星術師?

●仮に、霊能力を持った西洋占星術師がいるとすれば、あなたのホロスコープから「前世」を読み取ったように装うことは起こりえます。
その場合もホロスコープとは直接関係はなく、霊能力に拠っているにすぎません。
もっとも、本物の霊能力を持っていれば、装う以外にあまり「占い」を必要とするとも思えませんが…(笑い)。

《 前世現象は一種の憑依的心霊作用 》

もう少し、謎解きをしましょうか。
「占星術(学)」と、「前世現象」は、いずれも現代科学では解き明かせない超科学的な事象です。
同じ超科学的な事象であっても、「その分野は違うよ」ということを言いたいのです。
占星学は、星や宇宙の存在様相をリーディングして、人間(社会)への影響を解き明かします。
いわば「宇宙と人間」といった空間的な時空を超えた関係を扱っているわけです。
一方、前世現象は、過去に生きた人間と、現在生きている人間という「人間と人間」という時空を超えた関係性を扱っています。
一般的な言葉でいえば、心霊現象、広い意味での憑依(ひょうい=霊のとりつき)現象が「前世」の正体です。
それゆえ霊能者(スピリチュアル・カウンセラー)がコンタクトするわけです。
そこには、星や宇宙は関与していません。
逆に占星学(術)がリーディングする星や宇宙の動きには、人間はいっさい関与する余地がありません。
占星術も前世も、現世の人間に影響するのは事実ですが、その根源やルートは全く違うよ、ということです。

One-Point ◆ 分かりますよね…、決定的な違いが。星や宇宙が人間に影響を与えるのは、一種の「自然作用」です。前世現象は過去に生きていた人間が、何らかの形で人間に影響する「心霊作用」です。根本的に違うのです。なので、西洋占星術で前世を読み取ったり、それを肯定できるとする占星術師や占星術研究者は、信用できないのです。


フレームワークでみる運勢作用

●ホロスコープをリーディングしたときに、「直感に恵まれる」「霊能力を持ちやすい」「スピリチュアルな守護を受けやすい」、といった星の象意が表われる場合があります。
それは、本人の持つ運勢や心の特質の一つであって、「前世」や「カルマ」や「守護霊」とは別の問題なのです。
人は、宇宙の星が象わす波動(占星学)と、、過去の心霊(スピリチュアル)、そして自分自身の意志(心)といった三つの見えない運勢作用と、所属する国家や組織といった現実の影響を受けています。

《 カルマは西洋占星術には表われない 》

さて、西洋占星術と前世現象の根本的な違いが分かれば、「カルマ」もすぐに理解できます。
カルマとは仏教用語で、「人間」が行なった善因善果・悪因悪果のお話です。
なので、「前世」で述べたのと同じ理由で、西洋占星術とは関係ありません。
カルマには、自分が原因で起こる「カルマ(業)」と、人類や民族や先祖といった自分以外が原因で起こる「カルマ(宿業)」があります。
自分が行なったことが自分に返ってくるのは当たり前のことなので、西洋占星術以前の問題で、参考にすれば済むことです。
一方、国家や民族や先祖が過去に行なったことによって起こる「カルマ(宿業)」はどうでしょうか?
もし、現在の人々のホロスコープ(出生天球図)に何らかの「カルマ(宿業)」が現われるのであれば、同じ国民、同じ民族、同じ先祖の人々のホロスコープに、何か共通の星の配置などが見られなければなりません。
残念ながら、世界各国・各民族・各家系で、ほぼ同時刻に多数の人が生まれますが、月の配置が多少変わる程度です。
そういうわけで、カルマを西洋占星術で解釈できるとするのも間違っています。

One-Point ◆ ひいき目に考えて、同時刻に生まれた人は、「似たようカルマを受ける運命だ」と解釈したところで、星や宇宙の影響力とは別物です。西洋占星術とカルマを結びつけること自体に無理があるのです。

《 守護霊は現世的な守護が目的ではない 》

最後に「守護霊」ですが、西洋占星術で最大の吉星とされる木星と絡めて解釈する傾向があるようですが、これもありえません。
本物の「守護霊」であれば、あなたをけっして楽な甘やかした立場に置いてくれるとはかぎらないからです。
本当に命に関わる事態が生じる場合、力のある「守護霊」であれば、助けてくれる場合もあります。
しかし、精神的に成長してもらうことが「守護霊」の願いであり目的ですから、日常生活においては、あえて厳しい立場に置くことさえあります。
それは「守護霊」の本当の意味は、「魂の守護」という意味だからです。
西洋占星術が考える「現世の幸運」を与える木星とは、間逆でしょ。
なので「守護」という表現に誤魔化されてはいけません。
これも「前世」の項で述べたことと同じですが、守護霊といえども過去に生きていた人間なので、星や宇宙とは関係なく、スピリチュアル(心霊的)な関与です。
つまり、西洋占星術の解釈とは、直接的な関係はありません。

One-Point ◆ 宝瓶宮時代の現在、スピリチュアル・ブームは本当の現実(事実=あの世とこの世の関係など)を明らかにするための通過点にすぎません。それゆえ間違えることも多いのです。とはいえ、間違った占星術師を信じて人生を誤ることがないように、宣伝や知名度に惑わされず本物を見極める目をもっていただきたいと思います。

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