宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

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特別講座3:ホロスコープの作成

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ホロスコープ作成ソフトでハウス(室)はなぜ歪む?

特別講座3「ホロスコープの作成」と題していますが、具体的な作成の方法のお話ではありません。今はもう「ホロスコープ作成ソフト」や、WEB上の「ホロスコープ作成サービス」を使えば、誰でも簡単にホロスコープを作成できます。
今回は、そこで作成されるホロスコープ、「ちょっと違うんじゃない」という、どうでもいいお話です。


●第1稿 : 2012年11月16日アップ

《 ホロスコープの違い 》

たいしたお話ではありません。
使う分には別に不自由しませんので、そういう方は、わざわざお時間を割いてこのページを読む必要はありません。
「なぜ、ホロスコープは、ハウス(室)がイビツなの?」と、探究心のある方で、さらにお時間のある方はお付き合いいただければと思います。
宝瓶宮占星学サイトに「リーディング」のご依頼をくださったり、『西洋占星術と宝瓶宮占星学によるホロスコープ・リーディング入門講座』をご購入くださった方であれば、そこに添付されている宝瓶宮占星学ハンドメイドの「ホロスコープ」をご存じだと思います。
「なぜ、ホロスコープ作成ソフトの出力データじゃないの、なぜ、わざわざ手作りしてるの?」と思われた方、正解です。
多分、古くから西洋占星術に親しみ、ご自分で「室項表」や「天文暦」を繰りながら、占星記号や度数とにらめっこしつつ、せっせとホロスコープをハンドメイドで作成してきた方の中には、分かる方がいらっしゃるかもしれません。
まずは、2つのホロスコープを並掲しておきます。


ホロスコープ


One-Point ◆ 左が宝瓶宮占星学オリジナルの手作りのホロスコープです。右が皆様もおなじみの「ホロスコープ作成ソフト」によるホロスコープの出力例です。いずれも2012年11月16日正午、北緯35度、東経135度の場合です。太陽を第1ハウス(室)におく「ソーラーサイン・ハウスシステム」の場合、差異がありませんので掲載は省略します。

《 どちらでもいいんですけどね 》

違いにお気づきですか?
どちらでもいいんですけど、MC(Medium Coeli メディウム・コエリ=天頂:南中点)の表示位置が異なります。
つまり「ホロスコープ作成ソフト」の出力データのほうは、MC(南中点)とIC(Imum Coeli イムン・コエリ=天底:北中点)を結ぶラインが傾いているのがふつうです。
それにともなって、各ハウス(室)の幅が広くなったり、狭くなったりしています。
左のオリジナルのほうは均等です。
ですが、今度はサイン(宮)のほうが広くなったり、狭くなったりしています。
「ホロスコープ作成ソフト」の場合、占星時間の設定によって、日本(北緯35度の場合)では、最大約21度にも右や左に傾いて表示されます。
それに伴って、ハウス(室)の幅は、最小で約20度、最大で約45度にも表示されます。
いずれも、「レジオモンタナス・ハウスシステム」の場合です。
ちなみに、傾きや歪みが少ないハウスシステムのほうが正しいというわけではありませんので、ご注意ください。
そう考えるのであれば、イコール・ハウスシステムを使えばいいのです。
ASCハウスシステムで、MC(南中点)とIC(北中点)を結ぶタテのラインが、垂直に表示されるケースがないわけではありませんが、それは1日2回、一瞬のみで、その時間は季節によって異なります。
一方、宝瓶宮占星学オリジナルのホロスコープの場合、どんな占星時間を設定しても、必ずMC(南中点)とIC(北中点)を結ぶラインは垂直です。
12ハウス(室)は、必ず均等に30度ずつ12等分されて描かれます。
そのため、黄道12サイン(宮)のほうは、実際は「春分点」を起点に30度ずつ均等な幅を持っているにもかかわらず、設定時間によって広くなったり狭くなったり、不均等に描かれることになります。
いずれであっても、度数は同じなので、鑑定やリーディングに支障はありません。
なので、どちらを使われてもいいのですが、なぜこのようになるのかは、案外と重要です。

One-Point ◆ 最初から「ホロスコープ作成ソフト」の出力データに慣れ親しんできた方は、ハウス(室)の幅が異なるほうが「正しい」と思い込んでいるかもしれません。一方、昔から「プラシーダス・ハウスシステム」などでホロスコープを手作りしてきた方は、最初、「ホロスコープ作成ソフト」の出力データを目にして、「何これ?」と思われた方がいるかもしれません。

《 プログラミングの事情 》

皆様の中に「挟在サインって何?」と疑問をもたれた方はいませんでしょうか?
「挟在サインっていうけれど、サイン(宮)の幅は同じ30度だし…。挟在サインがあるハウス(室)のほうは、逆に広いし…」…。
「ホロスコープ作成ソフト」で出力したホロスコープを目にすると、そういうことがあります。
サイン(宮)は全部30度なのに、なぜ「挟在」って呼ぶのっていうことです。
すでにご存じの方に述べてもしょうがないのですが、上のホロスコープに戻って、宝瓶宮占星学のホロスコープをご覧ください。
第2ハウス(室)に位置する牡羊宮と、第8ハウス(室)に位置する天秤宮が「挟在サイン」です。
ねっ、ちゃんとハウス(室)とハウス(室)の境界線に「挟」まって「在(あ)」るでしょ。
それゆえ「挟在サイン」です。
ですから、こちらのほうが実際に即しています。
誤解や拡大解釈のある西洋占星術から正しい占星学への理解をうながす宝瓶宮占星学では、最初のうちは正しいホロスコープを参考にしていただきたいと考えています。
そのための手作りでもあります。
もっとも、自分で使うときは面倒なので、手作りすることは少なく、ホロスコープ作成ソフトの出力のまま使ったりします。
ちなみに「ホロスコープ作成ソフト」の作者がこういったことを知らないのではなく、プログラムを組むときに面倒だからです。
ハウス(室)は地域や時間によって、また使うハウスシステムによって、いちいち、いちいち異なります。
そういったハウス(室)を基準にプログラムを組むのは、かなり面倒なので、いつでもどこでも世界共通の12サイン(宮)を30度に固定して組んだほうが、星の位置の表示にしてもプログラミングは簡単だという事情があります。
仕方ありません。
フリーでダウンロードして高性能の「ホロスコープ作成ソフト」を使っている立場としては、それでも「御の字」です。

One-Point ◆ 「御の字」、古いことばですよね。今なら「ONの字」と書きそうになります。日本人は感謝したり、尊敬したり、謙譲して使うとき、「御」という冠詞をつけます。そういった状態をローラ風に「OK!」「アリガト」という意味で、スラング的に言えば「御の字」ということになります。

《 MC(南中点)とASC(上昇点) 》

またまた以上、長いまえふりですみません。
ここからが本題です。このページでお伝えしたいことは、なぜこのような歪みが起きるのかというご説明です。
地上の占星地から見た黄道の見え方ゆえにそうなります。
結論は、黄道面(公転面)に対して約23.4度傾いて地球が自転しているために、その地表から見るとき、黄道はフニャフニャと歪んで動いて見えます。
分かりにくいと思いますので、図ではいかがでしょうか?



11月16日、黄道はこう「見える」

●右上の図をご覧ください。
オレンジ色で西に傾いたラインが、上のホロスコープと同じ占星地、同じ日時(正午12:00)から見た黄道の状態です。
星も同様に、ほぼ位置するとおりの場所に記しています。実際は多少、上下して移動します。
イエローのラインは、その前後2時間毎の黄道の状態と太陽の位置です。
日中のみ記しましたが、11月のこの時期、また冬至の前後は、夜になると黄道は天頂近く、約80度の高さにもなります。
冬の月が、空高く天頂付近に見えることがあるのは、このためです。

やっぱり、分かりにくいですよね?
1日や1年を通してみたとき、地球の自転軸の傾きは変わらないし、また自転のスピードも一定(細かいことはヌキ)なので、自転軸の方向、すなわち北や南は、24時間、365日で360度(実際は少し足りないけど)、「均等」に黄道上を移動していきます。
この自転軸の方向こそが、MC(南中点)でありIC(北中点)です。
ところが東や西の水平線(地平線)上では、緯度によって「不均等」に黄道が移動し、しかも日々、右に左にブレて動いて見えることになります。
地球は丸いので、出生地など「占星地」から見ると、そう見えるのです。
「見える」といっても黄色い線があるわけではないのは当然なので、そのような様態になっているということです。
これがASC(上昇点)やDES(下降点)になります。
その動きは、左右上下に揺れるリングやメビウスの輪のようです。

One-Point ◆ ここからホロスコープの本当の基準は、ASC(上昇点)ではなく、MC(南中点)であることが分かりますでしょうか。もっとも、西洋占星術においては、ASC(上昇点)を重要視しますので、「ASCハウスシステム」と総称しても間違いではないといえます。

《 MC(南中点)は「不動」 》

ツメのご説明です。
MC(南中点)は「Medium Coeli=メディウム・コエリ」の略です。
直訳すれば、Coeliは「天」なので、「天の中心」すなわち「天頂」を意味します。
地上から空を見上げたとき、そのど真ん中が本来の「Medium Coeli=メディウム・コエリ」です。
地上にまっすぐ立ったとき、地球上どこでも、観測者の真上の方向、天空の1点を「天頂」といいます。
しかし、北緯35度前後の日本では、太陽や惑星の通り道、「黄道」が天頂にかかることはありません。
そのため、占星学でMC(Medium Coeli メディウム・コエリ=天頂)といった場合、実際の「天頂」と「南」を結んだライン上の「黄道」の1点をいいます。
上図を見てお分かりのとおり、太陽にとってはいちばん高い位置ではあるものの、メビウスの輪のように右に左に、上に下に揺れ動く黄道のいちばん高い位置ではありませんのでお間違えなく。
いずれにしてもMC(南中点)は、東のASC(上昇点)や西のDES(下降点)に対して、必ず直角90度である「天頂」や「南」の方向であることがお分かりいただけますでしょうか。
はい、ここでご質問です。
このような「天頂」と「南」を結ぶ「南中点」は、移動するでしょうか不動でしょうか?
「天頂」も「南」も動くことはありません。当然、MC(南中点)の方向は不動です。東西に対して必ず直角90度になります。
では、MC(南中点)が占星時間の設定によって、右に左に揺れ動く「ホロスコープ作成ソフト」の出力データと、宝瓶宮占星学オリジナルの手作りホロスコープとでは、どちらが正しいでしょうか?
プログラム作成の便宜上、仕方のないことですが、右に左に傾いて表示される「ホロスコープ作成ソフト」のデータは、「事実」とは異なることになります。
12サイン(宮)は、実際には春分点を起点に30度ずつ均等になっていますが、ホロスコープの中心である地球上の占星地から見たとき、時間帯によって狭くなったり、広くなったりしています。
見かけ上の幅が変わってしまうのは、12ハウス(室)ではなく、12サイン(宮)のほうなのです。
結局、MC(南中点)は垂直、12ハウス(室)は常に30度が正解で、実際に即した正しいホロスコープになります。

One-Point ◆もっとも、出力データの度数に誤りがあるわけではありません。「ホロスコープ作成ソフト」によって、微妙な誤差があるだけです。そのため、例えば水瓶宮の29度と魚宮の0度は、実際には同じ星の位置だったりします。そこで1度の違いを厳密に分けて占断しても仕方がない面があります。上のケースでは「水瓶宮の影響を受けた魚宮」などのように、幅を持たせた解釈も必要になります。



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